楊名時太極拳事務所

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楊名時とは

師家 楊名時

師家 楊名時

1924年、中国山西省五台県の武門の家に生まれた楊名時は、幼い頃より父親から太極拳の手ほどきを受けて育ちました。国際政治を学ぶために1943年に官費留学生として来日し、京都大学に学びましたが、日中関係の変化、中国大陸の情勢変化のため、帰国はかなわずその後は日本で中国語講師としての活躍を始めます。

いっぽうで幼少から親しんだ武術への思いも強く日本では柔道、合気道などに学びますが、特に空手は中山正敏師範に学び縁を得たことから日本武道館で太極拳を披露、楊名時が太極拳の道を歩む大きなきっかけとなりました。

簡化24式太極拳の本の翻訳や中国からの指導者の招請など、太極拳の紹介につとめ、また、禅宗の教えや、茶道、能楽など、太極拳とすぐれた日本文化との融合をめざしながら、自ら日本各地で太極拳の指導にあたりました。

心身の健康、仲間との友好、世界の平和を願う楊名時の太極拳は、老若男女、誰もが一生続けられる健康法として愛され、楊名時太極拳として日本に根付き、半世紀を迎えました。

Profile

楊名時(よう めいじ / Yang Ming-Shi)

1924年中国山西省五台県古城村生まれ。
京都大学法学部政治学科卒業後、東京中華学校校長を経て、大東文化大学名誉教授、楊名時八段錦・太極拳師家。日本健康太極拳協会(楊名時八段錦・太極拳友好会)最高顧問。日本空手協会師範。空手七段。
2005年7月3日逝去。享年80。

楊名時太極拳のこと

日中友好武術交流の旅/1981年

太極拳は中国古来の武術で、中国の伝統的な思想や世界観を背景に育まれた運動であり、現代では医学方面にもとりいれられ医療体術、あるいは国民体操としてひろく愛好されているものです。

太極拳はその他の武術のように筋骨を鍛錬するのではなく、呼吸法にのっとって内面の“気”を養い、健康を保持することをおもな目的としています。したがって体力に自信のない方でも誰にでもできる運動です。

楊名時太極拳は、この太極拳と八段錦という医療体術を柱として、心と体をすこやかに保ち、長く充実した人生を生きるための健康法です。

心・息・動の調和をめざすゆっくりとした動きが信条で、稽古した後は疲労感もなく、長く楽しみ、生涯続けることができる万人向けの運動です。初心者から経験者までがともに稽古し、競う事なくゆっくりと演舞する楽しさから多くの方々に愛好されています。

心をこめて行う太極拳を、楊名時は動く禅と称しました。太極拳によって心身にもたらされる充実感はすばらしいものです。

太極拳を演舞する意味

師家直筆の書/1993年

太極拳の妙は無であり、限りがない。また和を貴しとする。人間におきかえれば、心のひろい、いつも謙虚な人になるのが理想である。したがって、自分の幸せを念ずるとともに、他人の幸せを願わなければならない。

柔道の嘉納治五郎先生が、「自他共栄」といわれたが、これは、武道だけでなく、すべてのことに共通することではなかろうか。国と国とも自他共栄の精神がなければ、平和でありえない。人間もおれがおれが、と自分だけ、肩肘を張っていると決して人間関係もスムーズにいかない。顔も柔和でなくなる。

私は、ふだんの稽古のときに、仲間の幸せを願いながら、みんなといっしょに稽古している。みんなの健康、幸せを願っていると、そのことが自分の健康、幸せにもつながると信じている。それにきゅうくつでない。気持ちが大らかになる。ゆとりのある心を持つことが一番たいせつなことで、心を豊かに持つことは、それ自体が健康法である。

『新装版太極拳』自他共栄より引用

稽古のこと

1. あせってはいけません

「流水心不競」、流れる水は追い越そうと競ったりしません。自然のままにゆったりと流れていきます。太極拳、八段錦をする時も、早く覚えなければ、上達しなければ…と、あせることはありません。体調に合わせて、一つ一つ身につけていく気持ちで稽古することが大切です。太極拳の形の構成は、単純なものから、複雑な動きを組み合わせたものまでありますから、まず、単純なものから入り、稽古を積むうちに、全体の流れをつかむようにします。

2. ゆっくり、しなやかにします

太極拳の動きは、あごは引き加減にし、腰と背骨を中心にして、手と足、体、目が共にゆっくりと動き、気と共にあるのが特長ですから、初めからおわりまで、ゆっくりとした動きを保ことが大切です。途中で速度が変わると、気も乱れることになるので注意します。

3. 呼吸は「春蚕吐息、綿綿不断」

呼吸は、春の蚕が糸を吐くように綿々として切れないようにするのが特長です。吐く息の長い腹式呼吸で体の動きと共にし、気を丹田に集める重要な役割をもっていますので、ぜひマスターしてください。

4. 気を養います

八段錦は気を養い体を養う医療体術です。雑念を払い、無我無心になって深長呼吸をしながらゆったりと体を動かすことで、気を養い、気血が手の指先、足の指先まで行き渡ります。この動きが内蔵の働きをよくし、全身の調子をよくしてくれます。

5. 心豊かにします

太極拳を稽古する時は、しばし、日常の雑念から心を放ちます。すべてを忘れて、大宇宙に身心をそわせ、一体となって舞うこのひとときは、心晴れやかな太極拳美人を誕生させてくれることでしょう。

『幸せを呼ぶ楊名時八段錦・太極拳』稽古のポイントより引用

八段錦

八段錦は太極拳と同じように、むかしから長生きするための養生法として用いられた運動で、高血圧、胃かいよう、心臓病、神経系などの疾病の治療に効果がある。だれでもその場ですぐやれるので、ぜひおすすめしたい。
なお、八段錦とは、からだをじょうぶにするための八つの運動という意味である。

『新装版太極拳』八段錦より引用

二十四式太極拳

1956年8月、北京国家体育運動委員会が、専門家をより集めて楊家太極拳の大架式を大幅に取り入れ、さらに各流派の長所を精選、編成した「簡化太極拳」を制定した。従来の煩雑な108手は、わずか24の型(わざ)に整理統合されたため、練習時間も10分〜15分前後に短縮された。太極拳は、鶴と蛇の闘争からヒントを得てつくったものだといわれる。そのため、大蛇の丸くトグロをまく動作と、鶴が一本足でスーッと立つ姿が組み合わされている。型は起勢から収勢まで、単純なものから複雑なものへと組み立てられている。

『新装版太極拳』楊家太極拳と簡化太極拳より引用

鶴の舞

国立劇場にて/1989年

私はこの頃、太極拳を演舞するとき、鶴の飛翔する姿を連想し、その優雅で繊細な動きに近づきたいと念じている。そのせいか、太極拳を「鶴の舞」と紹介している。

そもそも太極拳の根源は、鶴の動きと呼吸に依拠したともいわれ、型の考案も鶴と蛇の闘争から得られたという。

それに、ご承知のとおり、鶴は亀と並んで長寿のシンボルであり、お祝いごとに必ず登場する動物である。それにまた鶴が私たちに愛されるのは、繊細な体軀から漂う気品ではないだろうか。地上における鶴の気品は、ひとたび飛翔すると優雅な舞いに変わる。その姿は、えもいわれぬ美しさである。

『新装版太極拳』鶴の舞より引用
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